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2026.10.30 データベース

クラウドとオンプレミスを比較|専用環境を含む業務データの置き場所の決め方と見積もりで確認する項目

クラウドとオンプレミスを比較するときは、専用環境を含め、自社の制約と運用体制で候補を絞ります。保管場所だけを比べると、処理場所、認証、復旧、更新、終了時の移行費が抜けます。

先に法令・契約・社内規程による除外条件を確認し、候補ごとの未確認事項を残します。本記事では、決裁者が選定理由を追える一枚の判定表と、見積もりを同じ条件で比べるための算定表を作ります。

この記事でわかること

  • クラウド、専用環境、オンプレミスを二層で分ける方法
  • 候補を外す条件と、形態を問わず確認する安全条件
  • 導入から終了までの費用を見積もりで確認する算定項目
  • 稟議に転記できる決定理由と未確認事項の書き方

結論: 置き場所は「除外条件→処理場所→連携→運用と復旧→総費用」の順で決める

最初から三つの形態を点数で比べるのではなく、採用できない候補を根拠付きで外します。残った候補だけを、処理場所、接続、認証、復旧、費用の順で比較します。順序を固定すると、価格の印象や「社内に置けばよい」といった思い込みで決めにくくなります。

以下の判断順は、IPAの製品分類ではなく、同ガイドライン第4.0版と各公開情報を基にしたロフタルの整理です。IPAは、外部委託では「委託元としての管理責任を問われる」(p.15)とし、クラウド利用では「自社の役割・責任を把握し」(p.57)と示しています。

1除外条件
法令、契約、社内規程、取引先条件を確認し、利用できない候補と根拠を記録します。
2保存・処理・委託先
保存場所に加え、処理場所、委託先、データを扱う範囲を確認します。
3接続・認証・連携
接続経路、認証連携、既存システムとの連携条件を照合します。
4運用・復旧
更新、監視、バックアップ、復元を誰が担い、社内で回せるかを確かめます。
5総費用
導入、維持、更新、障害対応、終了・移行、社内運用工数を見積もり欄へ分けます。
一枚判定表の記入例(候補1件分):要件・候補・根拠URL・未確認事項・確認者・決裁者の6欄
図1 一枚判定表の記入例(候補 1 件分)

一枚判定表の記入例

要件
契約上の保存・処理条件
候補
候補 A(事業者運用のクラウド)
根拠URL
公開仕様・規約・見積書の該当箇所
未確認事項
終了時の出力形式と費用
確認者
情報システム担当
決裁者
業務責任者

この表は、候補を早く一つに決めるための採点表ではありません。未確認のまま決裁へ進むのを防ぎ、後から条件が変わった時に判断をやり直せる記録です。

3つの形態の定義と、混同しやすい言葉

名称だけで比べると、「クラウド」と「専用」が排他的に見えます。実際の検討では、設置・運用主体と個別条件を二層に分けます。以下は比較のためにロフタルが用いる整理です。名称だけで判断せず、実際の構成と契約条件を確認します。

事業者運用のクラウド
サービス事業者が運用する環境を利用します。利用企業は、公開仕様、規約、設定、利用者管理を確認します。
クラウド上の専用環境
自社契約などのクラウド環境へ専用に構築する候補です。占有範囲、運用主体、接続条件は構成ごとに確認します。
自社設備のオンプレミス
自社設備に構築する候補です。機器だけでなく、更新、監視、バックアップ、復旧を担う体制まで対象にします。

次に、各候補へ「保存場所と処理場所」「共有か占有か」「インターネット接続か閉域か」「認証連携」「保守主体」を重ねます。専用環境がクラウド上に置かれる場合もあるため、名称から設置場所を決めつけず、構成図や見積書に書かれた条件で確認します。

確認軸書く内容見落としやすい点
データ保存場所、処理場所、委託先保管場所だけで判断しない
共有・占有共有範囲、占有範囲「専用」という名称だけで占有範囲を決めない
接続インターネット、閉域、利用拠点相談可能と標準提供を分ける
認証採用方式、連携先、利用者停止形態ごとの公開条件を混ぜない
保守更新、監視、障害対応の主体機器の所有者だけで決めない

IPAが説明するSaaSでは、データ処理と保存をサービス提供者が管理するサーバーで実行する形が示されています。一方、すべてのクラウドや専用環境を同じ条件へ広げず、候補ごとに公開資料と契約条件を照合します。

最初に確認する除外条件と、形態を問わない共通の安全条件

除外条件は、希望ではなく根拠と一緒に書きます。「社外に置けない」なら、該当する法令、顧客契約、社内規程の条項と確認者を記録します。「クラウドは規制で使えない」と一括りにせず、データの種類、保存・処理条件、委託条件まで分けて確認します。

候補から外す前に残す記録

  • 根拠となる法令・契約・社内規程の名称と該当箇所
  • 対象データと対象業務
  • 解釈を確認した人、決裁する人、確認日
  • 例外や条件付き利用が認められる範囲

IPA第4.0版は、外部サービス利用時に「利用規約や付随する情報セキュリティ対策」(p.17)を確認対象に挙げています。事業者へ任せる作業と、自社に残る判断・設定・監督を分けます。担当区分の作り方は共通の安全条件と担当区分で整理しています。

以下の5項目は、公開情報を基にしたロフタルの整理です。権限、ログ、バックアップと復元手順、更新、退職者対応は、形態を問わず確認します。オンプレミスを選んでも、権限が広いまま、復元手順が未確認、退職者の利用停止担当が不在なら、置き場所だけでは課題を解消できません。クラウドでも、利用者側の設定と運用が残ります。

権限
誰が閲覧・編集できるか、業務と役割に合わせて決めます。
退職者対応
異動・退職時に誰が、いつ利用を止めるかを決めます。
ログと確認担当
何を記録できるか、誰がどの場面で確認するかを決めます。
バックアップと復元
対象、保持、復元の依頼先、優先順位、確認手順を分けます。
更新と運用体制
サービス側と自社側の更新対象、担当、変更時の見直しを記録します。

「まずクラウドで試す」と決めるのは、除外条件と利用許可を確認した後です。許可された範囲で、実データを入れずダミーデータで操作と業務手順を確認します。形態間の機能差、認証、移行条件は、試用結果とは別の欄で事業者へ確認します。

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運用責任・復旧・総費用を同じ表で比べる

契約と構成により、運用責任と確認事項は変わります。以下は優劣ではなく、候補から外す条件と追加確認を見つけるためのロフタルの整理です。

形態候補から外す条件追加確認が必要な条件
事業者運用のクラウド保存・処理・委託条件が規程や契約を満たさない利用者側の設定、復旧依頼、認証、終了時のデータ移行
クラウド上の専用環境必要な接続・認証・運用条件を構成できない占有範囲、保守主体、監視、更新、障害時の分担
自社設備のオンプレミス自社または委託先との分担により、更新・監視・復旧を継続する体制を確保できない機器、保守、バックアップ、復元、更新、終了時の移行

復旧は「バックアップがあるか」だけで終えません。止められる業務時間、復旧するデータの範囲、判断者、作業者、連絡先、復元手順を同じ行にします。IPA第4.0版も「自社の役割・責任を把握し」(p.57)、利用者側で必要な対策を実行する考え方を示しています。

見積もりで確認する10項目:初期構築、インフラ・機器、ライセンス、保守・更新、監視・バックアップ、認証・基幹連携、移行、障害対応、終了・再移行、社内の運用工数
図2 見積もりで確認する 10 項目
算定項目見積もりで確認する内容
初期構築標準範囲、個別設定、環境準備、受入確認
インフラ・
機器
購入・契約対象、容量変更、交換、更新
ライセンス課金単位、最低契約数、追加時の条件
保守・更新担当範囲、更新作業、問い合わせ、契約期間
監視・
バックアップ
対象、保持、確認、復元依頼、復元作業
認証・
基幹連携
認証方式、接続先、開発、変更時の保守
移行対象データ、形式、確認、切替、旧環境の扱い
障害対応一次切り分け、連絡、作業、社内判断
終了・
再移行
データ出力、移行作業、契約終了、機器の扱い
社内運用工数利用者管理、権限変更、確認、教育、復旧判断

各社の見積もりは、項目名と含まれる範囲をそろえてから比べます。公開価格を足して総額を推定せず、空欄は「0円」ではなく未確認として残します。期間、ユーザー数、容量、連携先、保守範囲も見積条件へ添えます。

稟議に転記する「決定理由」と「未確認事項」の書き方

稟議には「クラウドの方が手軽だから」ではなく、除外条件を通過した候補、確認済みの要件、残る条件、運用責任を書きます。決定理由と未確認事項を分けると、推測を事実のように扱うのを防げます。

決定理由の記入例
対象データは社内規程と契約条件を確認し、候補Aで利用可能と確認した。必要な接続・認証条件を満たし、更新と保守の担当範囲を公開資料と見積書で確認した。利用者管理、権限変更、復旧判断は自社担当が行う。
未確認事項の記入例
終了時のデータ出力形式と費用は未確認。確認先は事業者窓口、確認者は業務責任者、期限は決裁前。回答は根拠URLまたは見積書の該当箇所と一緒に判定表へ追記する。

「対応可」「相談可」「標準範囲」は同じ意味ではありません。事業者へ確認する時は、対象データ、ユーザー数、接続元、認証、連携先、復旧要件を提示し、回答の前提条件を残します。確認項目の整理には事業者への確認に使うセキュリティチェックシートも利用できます。

判定表の完成条件

採用候補の根拠URLがあり、未確認事項に確認者と期限が入り、決裁者が自社に残る責任と総費用の算定範囲を確認できる状態です。

PigeonCloud の提供形態と公開条件

PigeonCloudは、株式会社ロフタルが提供する業務データベースです。公開情報では、クラウド版、専用環境、オンプレミスを同じ製品名で検討できます。ただし、認証、接続、保守、費用などの条件は形態と構成で変わるため、別々に確認します。

クラウドとオンプレミスの違いを比べ、閉域で使うWebデータベースが要件なら、接続・認証・保守の条件を判定表に記入します。閉域での運用は相談対象であり、対応範囲は構成により異なります。

公開情報の確認基準日: 2026年10月19日

公開条件クラウド版専用環境・オンプレミス
確認基準日2026年10月19日
環境ロフタルが運用するクラウド環境。データベースは日本国内(東京)に保管専用環境は貴社専用環境へ、オンプレミスは貴社の自社サーバーへ構築。データは貴社サーバー内で管理
接続インターネット経由閉域ネットワークでの運用は相談対象。対応範囲は構成により異なる
認証Google および Microsoft Entra ID を利用した SAML SSO に対応Active Directory / LDAP連携、SAML / OpenID Connect。構成により異なる
更新・保守ロフタルが実施方法は相談のうえ決定
費用月額5,500円〜(税抜)。最低契約ユーザー数5標準構成で初期費用300万円程度〜(税抜)が目安。要件により変動し個別見積もり
別途項目プランと利用条件を料金ページで確認サーバー費用、保守、月額ライセンスは別途
出典セキュリティ/料金/専用環境・オンプレミス/機能一覧

クラウド版では、閲覧・編集権限、更新履歴ログ、バックアップなどの公開機能があります。専用環境・オンプレミスでは、同じ機能名だけで条件が同一と判断せず、提供範囲、保持、復元、認証、保守を構成ごとに確認します。

構成・要件を相談する

まとめ

クラウドとオンプレミスを比較する場合も、最初に法令・契約・社内規程の除外条件を確認します。その後に保存・処理・委託先、接続と認証、運用と復旧、総費用を同じ順で比べます。

先に外す
利用できない候補を、規程・契約・確認者と一緒に記録
同じ表で比べる
責任、復旧、導入から終了までの算定項目をそろえる
未確認を残す
根拠URL、確認者、期限、決裁者を一枚の判定表へ記録

形態を選んだ後も、権限、ログ、バックアップと復元手順、更新、退職者対応は残ります。一枚の判定表があれば、稟議、事業者への質問、導入後の見直しを同じ根拠でつなげられます。

よくある質問

オンプレミスを選べば安全ですか?

置き場所だけでは決まりません。権限、ログ、更新、バックアップと復元、退職者対応を誰が担うかまで確認し、自社で継続できる体制と合わせて判断します。

クラウドを先に試してもよいですか?

法令・契約・社内規程の除外条件と利用許可を先に確認します。利用できる範囲が決まったら、実データを使わずダミーデータで操作と業務手順を確認します。

見積もりは何をそろえて比べますか?

期間、人数、容量、連携先、保守範囲をそろえ、初期構築から終了・移行、社内運用工数まで項目別に確認します。空欄は未確認として残します。

出典

この記事を書いた人
石川 傑也 Takuya Ishikawa
アクセンチュア株式会社を退職後、AI研究開発者としてAI企業に参画し、LSTM・RNNなどのディープラーニングを用いたシステムの研究開発に従事。 その後、株式会社ロフタルを設立。これまでの経験を活かし、DX・業務改善を進めるサービスPigeonCloudを開発。

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