【2026年版】オープンソースWebデータベース比較|セルフホストの選び方と注意点
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「Webデータベースをなるべく無料で使いたい」「オープンソースなら自社の要件に合わせて作り込めるのでは」——そう考えて情報を集めている担当者は多いはずです。
先に結論を書きます。オープンソースのWebデータベースはライセンス費こそ無料ですが、セルフホストで自社運用する場合、サーバーの構築・保守、セキュリティパッチの適用、障害時の切り分けは原則として自社の負担になります。社内にエンジニアがいれば強力な選択肢ですが、いない場合は、運用工数まで含めた総額では月額課金のSaaS型が下回ることもあります。どちらが安いかは利用人数と運用体制次第です。
この記事では、セルフホストできるWebデータベースとして押さえておきたい5製品を紹介します。OSI(Open Source Initiative)の定義に沿ったオープンソースが4製品(Pleasanter・Exment・Baserow・Teable)、ソースは公開されているが厳密にはOSI定義に当たらないライセンスの製品が1つ(NocoDB)です。そのうえで「オープンソースとSaaS型のどちらを選ぶべきか」の判断軸まで整理します。無料という言葉だけで飛びつく前に、運用まで見据えて選んでください。
- オープンソースのWebデータベースはライセンス費が無料。ただしセルフホストで自社運用する場合、構築・保守・セキュリティ・サポートは自社の負担になる
- OSI準拠のオープンソース4製品(Pleasanter・Exment・Baserow・Teable)に加えて、ソース公開型のNocoDBを比較する
- 技術者がいれば内製、いなければサポート込みのSaaS型。どちらが総額で安いかは利用人数と運用体制で変わる
オープンソースWebデータベースとは
Webデータベースは、インターネット経由でデータの登録・検索・集計を行うシステムです。Excelやスプレッドシートと違い、同時編集・変更履歴・権限管理を前提に設計されているため、社内のデータを一元管理する用途に向いています。Webデータベースそのものの基礎は、次の記事で詳しく解説しています。
その中でも「オープンソース」の製品とは、ソースコードが公開され、各ライセンスの条件の範囲内で利用・改変・再配布ができるソフトウェアを指します。反対に、ソースコードが非公開で提供元しか改変できない製品を「プロプライエタリ・ソフトウェア」と呼びます。市販のSaaSはこちらが一般的です。
オープンソースを名乗るには、Open Source Initiative(OSI)が定めた10項目の定義を満たす必要があります。「無料で配布されているだけ」では、厳密にはオープンソースとは言えません。近年はソースを公開しつつOSI定義には当たらない「ソース公開型(source-available)」のライセンスを採用する製品も増えており、後述のNocoDBがその例です。
- 再頒布の自由(無償・有償を問わない)
- ソースコードの公開
- 派生ソフトウェアの許可
- 作者のソースコードの完全性
- 個人・団体を差別しない
- 利用分野を差別しない
- ライセンスの再頒布
- 特定製品でのみ有効なライセンスの禁止
- 他のソフトウェアを制限しない
- 技術的に中立であること
出典:The Open Source Definition(OSI)
- オープンソース(OSI準拠):OSI定義を満たす。利用・改変・再配布の自由度が高い(例:Pleasanter・Exment・Baserow・Teable)
- ソース公開型(source-available):ソースは見られるがOSI定義には当たらない。商用形態によって制限がある(例:NocoDB)
- プロプライエタリ:ソース非公開。提供元のみが改変できる(例:一般的な市販SaaS)
オープンソース/セルフホスト対応Webデータベースを比較
製品を挙げる前に、この記事で何を基準に選んでいるかを示します。判断軸は次の4点です。
- ソースが公開され、セルフホストできること
- ライセンスの種類(OSI準拠か、ソース公開型か。商用利用の条件に直結する)
- 対応データベース(既存の環境に載せられるか)
- 日本語での情報の得やすさ(国産か海外発か)
国産の2製品(Pleasanter・Exment)は日本語ドキュメントがそろっており、導入時に情報を探しやすいのが実務上の利点です。海外発の3製品(Baserow・NocoDB・Teable)はAirtableの代替として設計されています。ライセンスは製品ごとに条件が異なるため、商用利用の前に必ず最新の条項を確認してください。
| 製品 | ライセンス | 対応DB | 日本語 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|---|
| Pleasanter | AGPL-3.0(Community)/Enterprise版は商用。OSI準拠 | SQL Server・PostgreSQL・MySQL | 国産・公式が日本語 | 日本語のまま業務アプリを内製したい |
| Exment | GPL-3.0。OSI準拠 | MySQL・MariaDB | 国産・公式が日本語 | 安価なレンタルサーバーで小さく始めたい |
| Baserow | コアはMIT(OSI準拠)/premium・enterpriseは商用 | PostgreSQL | 要確認(海外発) | Airtable代替をロックインなしで使いたい |
| NocoDB | Sustainable Use License(旧AGPL)。ソース公開型でOSI定義には非該当 | 既存のMySQL・PostgreSQL・MariaDB・SQLiteに接続 | 要確認(海外発) | 既存DBにそのままUIをかぶせたい |
| Teable | AGPL-3.0(一部MIT)。OSI準拠 | PostgreSQL | 要確認(海外発) | 大きめのデータをモダンなUIで扱いたい |
ここからは各製品を個別に見ていきます。
1Pleasanter(プリザンター)
株式会社インプリムが開発する国産のオープンソースWebデータベースです。公式が日本語ドキュメントを提供し、画面操作で業務アプリを作れます。無料で始め、商用サポートが要ればEnterprise Edition(年間42万円〜)へ移行できます。
公式サイト:Pleasanter(プリザンター)
2Exment(エクスメント)
株式会社カジトリが開発する国産のオープンソースWebデータベースです。PHPフレームワークLaravelがベースで、月額数百円〜のレンタルサーバーでも構築できます。顧客管理やタスク管理に向き、SSOやワークフローにも対応します。
公式サイト:Exment(エクスメント)
3Baserow
オランダ発のAirtable代替で、コアはMITライセンス(OSI準拠)のオープンコア型です。ベンダーロックインを避けやすく、セルフホスト版は行数やユーザー数の制限なく使えます。日本語UIは公式で明言がないため要確認です。
公式サイト:Baserow
4NocoDB(ソース公開型)
既存のDBにそのままWeb画面をかぶせられるのが特徴で、データを移し替えずAirtable風UIで扱えます。ライセンスがソース公開型(OSI非該当)のため、商用利用は条項の確認が要ります。
公式サイト:NocoDB
5Teable
PostgreSQLをネイティブに使うAirtable代替です。DockerとPostgreSQLでセルフホストでき、表形式UIで比較的大きなデータを扱えます。他の4製品より後発ですが、これから検討するなら候補に入る一つです。
ノーコードデータベースおすすめ7選(選び方の比較記事)はこちら
オープンソースWebデータベースを使うメリット
オープンソースを選ぶ理由は、大きく3つに整理できます。ライセンス費の負担がないこと、データを自社側に置けること、そしてライセンスの範囲内で中身を改変できることです。
- ライセンス費が原則無料:ユーザー数課金がなく、人数が増えても費用は変わりにくい
- データを自社側に置ける:自社インフラにデータを保持でき、外部にデータを出しにくい要件にも対応しやすい
- ライセンスの範囲内で改修できる:ソースが公開されているため、独自の機能追加や連携を作り込める余地がある
特に「データを社外のクラウドに預けにくい」という制約がある業種では、セルフホストできるオープンソースは有力な選択肢になります。
オープンソースWebデータベースのデメリット・注意点
一方で、無料という言葉の裏には見えにくいコストがあります。導入を決める前に、次の4点は押さえてください。
- セルフホストの運用工数:自社運用ならサーバー・DB・監視の構築と保守が続く。VPS代が月1,000円台でも、人が動く工数は別にかかる
- セキュリティパッチの適用:脆弱性の情報を追い、バージョンアップを自前で当て続ける必要がある
- サポート体制は製品ごとに異なる:Community版は公式サポートが付かないこともあるが、Pleasanterのように有償サポートやEnterprise版で補える製品もある。導入前に確認する
- ライセンス条項が変わることがある:NocoDBのように途中でライセンスが変更される例もあり、商用利用の条件は都度確認が要る
つまりオープンソースは「タダで手に入るソフト」ではなく、ライセンス費の代わりに運用の責任を引き受ける仕組みだと捉えるのが正確です。ここを軽く見て自社運用すると、パッチ適用の遅れがそのままセキュリティリスクにつながります。
オープンソース(セルフホスト)とSaaS型、どちらを選ぶ?
ここまで読んで「自社に合うのはどちらだろう」と迷った担当者向けに、判断軸を表にまとめます。技術者が社内にいて内製で回せるならオープンソース、情シスの工数を抑えて早く使いたいならSaaS型、というのが大枠の分かれ道です。
| 判断軸 | オープンソース(セルフホスト) | SaaS型 |
|---|---|---|
| コスト構造 | ライセンスは無料。ただしサーバー代と運用工数(人件費)が継続的にかかる | ユーザー課金の月額。初期の構築工数はほぼ不要 |
| 運用負荷 | 構築・監視・パッチ・バックアップを自社が担う | 事業者がインフラと更新、可用性を担う |
| セキュリティ責任 | 脆弱性対応・アクセス制御・データ保護まで自社責任 | インフラ層は事業者、設定・運用は利用者という分担 |
| 向くケース | 技術者がいて内製で回せる/データを社外に出しにくい要件 | 情シスの工数を抑えたい/運用ごと任せたい |
どちらが総額で安いかは、利用人数と運用体制で変わります。人数が多くエンジニアもいるならセルフホストが有利になりやすく、少人数で運用を任せたいならSaaS型が有利になりやすい、という関係です。クラウド型データベースの仕組みや選び方は、次の記事でも整理しています。
自社運用が負担なら「サポート込み」のSaaS型という選択肢
「オープンソースの自由さは魅力だが、社内にサーバーを触れる人がいない」——その場合は、サポートと保守が料金に含まれるSaaS型のWebデータベースが現実的です。ここでは一例として、当社が運営するPigeonCloudを紹介します。
PigeonCloud(ピジョンクラウド)
株式会社ロフタルが運営するノーコードのSaaS型Webデータベースです。オープンソースのセルフホストとの違いは、サーバーの保守・セキュリティ対応を提供会社が担う点にあります。
- 月額5,500円〜(最低5ユーザー・1ユーザーあたり1,100円)
- 帳票出力・ルックアップ自動取得・自動採番などが標準機能
- 脱Excel・脱Access・脱スプレッドシートに対応するノーコードツール
- 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得
オープンソースで有償サポートやEnterprise版を検討しているなら、サポート込みのSaaS型と費用を並べて比べる価値があります。
公式サイト:PigeonCloud(自社の業務をノーコードで自動化できるか確認する)
よくある質問
Q. オープンソースのWebデータベースは本当に無料で使えますか?
ライセンス費は原則無料です。ただしセルフホストで自社運用する場合、サーバー代、構築や保守にかかる工数、有償サポートを使う場合の費用は別にかかります。「ライセンスが無料」であって「運用が無料」ではない点に注意してください。
Q. プログラミングの知識がなくても使えますか?
PleasanterやExmentは画面操作で基本的な業務アプリを作れます。ただしサーバーの構築や標準機能を超えた作り込み、トラブル対応には技術的な知識が必要です。社内に対応できる人がいない場合は、SaaS型のほうが運用は楽になります。
Q. 日本語には対応していますか?
PleasanterとExmentは国産で、公式が日本語に対応しています。Baserow・NocoDB・Teableは海外発のため、日本語UIの対応状況は製品ごとに異なります。導入前に実機で確認することをおすすめします。
Q. セキュリティ面は大丈夫ですか?
オープンソースはソースが公開されているぶん、脆弱性が見つかれば修正も速い一方、セルフホストではパッチを適用する責任は利用する側にあります。適用が遅れればそのままリスクになります。運用を任せたい場合は、事業者がインフラのセキュリティを担うSaaS型を検討してください。
まとめ
セルフホストできるWebデータベースは、ライセンス費がかからず、データを自社側に置け、ライセンスの範囲内で改修できる選択肢です。国産のPleasanter・Exment、海外発のBaserow・Teableはいずれもオープンソース、NocoDBはソース公開型で、それぞれ用途がはっきりしています。
ただし無料なのはライセンスだけで、セルフホストで自社運用する場合の構築・保守・セキュリティは自社の責任になります。社内に技術者がいれば内製の武器になりますが、いない場合は運用工数まで含めた総額でSaaS型が下回ることもあります。自社にエンジニアがいるか、データを社外に出せるか、利用人数はどのくらいか——この3点を起点に選ぶと、判断を誤りにくくなります。
データ管理、もっと簡単に。
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