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2026.10.21 データベース

在庫管理を見える化する5つの手順|紙・Excelから始める方法

在庫管理の見える化は、きれいなグラフを作ることから始めるものではありません。商品台帳、入出庫履歴、現在庫の3つを分け、どの数字を正本として扱うかを決めるところが出発点です。

本記事では、紙の記録をExcelへ移す場合も含め、単一工場の架空商品を使って在庫の可視化の進め方を説明します。店舗や小規模倉庫も同じ2表を起点にできますが、項目と記録する時点は現場に合わせて決めます。

本記事で最後に紹介するPigeonCloudは、運営元の株式会社ロフタルが提供する製品です。Excel、汎用Webデータベース、専用システムを同じ判定軸で比べます。

この記事でわかること

  • 見える化に必要な3つのデータ
  • 紙・Excelで進める5つの手順
  • 運用方式を比べる3つの選択肢

在庫管理の見える化に必要な3つのデータ

在庫管理の見える化の土台は、商品そのものの情報と、数量が動いた記録を混ぜないことです。この2つから現在庫を計算すると、表示された数字の根拠を履歴まで戻って確認できます。

商品台帳と入出庫履歴を商品コードで結び、増減数から現在庫を計算する関係図(架空の構成例)

商品台帳は変化しにくい情報を持つ

商品を識別する正本

商品コード、商品名、単位、発注点を1商品1行で置きます。商品コードは履歴と結ぶキーです。同じ商品に別コードを付けたり、別商品に同じコードを使ったりしない採番ルールも決めます。

入出庫履歴は数量の動きを1件1行で残す

消さずに積み上げる記録

日付、履歴ID、商品コード、区分、数量、増減数、訂正元ID・備考を持たせます。入庫は正、出庫は負で記録し、誤入力は元の行を消さずに取消行を足す形にします。

現在庫は履歴から計算して表示する

台帳と履歴を結ぶ数字

商品コードが一致する増減数を合計し、商品台帳の現在庫欄へ表示します。紙の残数を書き写す方式ではなく、どの履歴からその数量になったかを追える形です。

物理的な置き場所も整えたい場合は、工場でスマホ入力を始める手順も参照できます。この記事では、まず数量データの作り方に範囲を絞ります。

紙・Excelから在庫を見える化する5つの手順

新しい道具を先に選ぶと、紙の曖昧さをそのまま移すことがあります。項目、記録、計算、発注点、現場入力の順に決めると、各段階で確認できます。

商品台帳の項目決定から現場入力の担当と時点の決定までを示す5手順

手順1:商品台帳の項目を決める

項目
商品コード、商品名、単位、発注点を決めます。紙にしかない呼び名が複数ある場合は、正式な商品名と商品コードへ寄せます。

手順2:入出庫を1件1行で記録する

記録
入庫、出庫、訂正、棚卸調整を区分として持ち、履歴IDを付けます。数量は区分にかかわらず常に正数で入力し、増減数は入庫をプラス、出庫をマイナス、訂正を取り消す行の反対符号、棚卸調整を差異の符号にします。Excelの入力規則では区分をリストから選ばせ、数量を整数に制限できます。

入力規則には案内やエラーアラートも設定できます。ただし、警告方式によっては利用者が続行できるため、設定だけで業務上正しい値になるとは限りません。

手順3:SUMIFSで現在庫を計算する

計算
商品台帳と入出庫履歴の両方をExcelテーブルに変換し、テーブル名をそれぞれ「商品台帳」「入出庫履歴」にします。商品台帳の現在庫列のセルへSUMIFS式、表示列のセルへIF式を入れます。SUMIFSは、合計対象範囲、条件範囲、条件の順に指定し、同じ商品コードの増減数を合計します。

入出庫履歴[増減数]は増減数列、[@商品コード]は商品台帳で数式を置いた行の商品コードを指します。通常のセル範囲のままでは、この構造化参照をそのまま使えません。

手順4:発注点未満を色で見分ける

発注点
現在庫と発注点を比較する条件付き書式を主に使い、発注点未満の行または表示セルへ色を付けます。色は確認の入口であり、発注処理そのものではありません。

文字でも判別したい場合は、後述するIF式を完成例として使えます。公式の書式に沿った例です。対象ブックの3ケース(未満・同値・超過)で結果を確かめてから運用します。

手順5:現場で入力する場所と時点を決める

現場入力
入庫時、出庫時、棚卸時のどこで誰が記録するかを決めます。事務所で後からまとめて転記するなら、紙の履歴IDとExcelの行を対応させます。

Excelの共同編集を使う場合は条件確認が必要です。

  • Microsoft 365 の対応版を使う
  • 対象ファイルは.xlsx・.xlsm・.xlsb のいずれか
  • OneDrive・OneDrive for Business・SharePoint Online のいずれかへ保存

実際のブックは2アカウントで試します。

完成例:架空商品1件で現在庫と差異を確認する

ここからは架空の例です。商品「ボルトM8」を1件だけ登録し、誤入力の取消と棚卸差異の調整までを追います。実在する会社や在庫の実績ではありません。

商品台帳に現在庫と表示を置く

P-001|ボルトM8
単位:個
発注点:30
現在庫:28
表示:要発注

入出庫履歴に取消と棚卸調整を足す

10/1|R001|入庫
商品コード:P-001
数量:100
増減数:100
訂正元ID・備考:初期入庫
10/3|R002|出庫
商品コード:P-001
数量:60
増減数:-60
訂正元ID・備考:
10/4|R003|出庫
商品コード:P-001
数量:15
増減数:-15
訂正元ID・備考:誤入力
10/4|R004|訂正
商品コード:P-001
数量:15
増減数:15
訂正元ID・備考:R003を取消
10/5|R005|棚卸調整
商品コード:P-001
数量:12
増減数:-12
訂正元ID・備考:帳簿40、実数28

SUMIFSとIFの2式で表示する

現在庫

=SUMIFS(入出庫履歴[増減数],入出庫履歴[商品コード],[@商品コード])

発注表示

=IF([@現在庫]<[@発注点],"要発注","")

計算過程

この完成例では、数量列は5行とも正数です。増減数だけに符号を持たせ、入庫はプラス、出庫はマイナス、訂正は取り消す行の反対符号、棚卸調整は差異の符号にしています。SUMIFSの結果は、100−60−15+15−12=28です。

取消行

R003の誤入力を消さず、R004の取消行で戻しています。

棚卸調整

帳簿40と実数28の差異−12をR005の調整行にした結果です。

IF式は、現在庫が発注点未満なら「要発注」と表示する、公式の書式に沿った例です。対象ブックの3ケース(未満・同値・超過)で結果を確かめてから運用します。発注点の見落とし対策には条件付き書式も併用できます。

数字をずらさない運用ルール

式が正しくても、記録時点と訂正方法が人ごとに違えば数字は合いません。筆者は、画面の見栄えより先に、次の4点を一枚の運用票へ書き出します。

更新時点を区分ごとに固定する

入庫は受入後、出庫は持ち出し時、棚卸調整は実数確認後など、区分ごとの記録時点を決めます。「手が空いた時」のような人によって解釈が変わる表現は避けます。

正本と担当者を一つに絞る

紙とExcelを併用する期間も、どちらが正本かを決めます。Excelを正本にするなら、紙は入力待ちの原票として扱い、入力済みの印と履歴IDを残します。

訂正は元行を消さず反対符号で戻す

誤った行には新しい取消行を対応させ、訂正元ID・備考へ元の履歴IDを書きます。元行を上書きしないため、現在庫が変わった理由を記録からたどれます。

棚卸差異は調整行として残す

帳簿在庫と実数が違ったら、現在庫セルを直接28へ書き換えず、差異−12を棚卸調整として追加します。差異の理由が未確定なら、備考へ確認中と記録します。

Excelを続けるか、システムへ移すか

商品数や利用人数だけで方式を決めると、必要な機能を見落とします。必要機能、自由度、標準範囲、運用負荷の4軸で比べます。Excel側の判断材料は、Excelの限界を行数・容量から確認する記事でも整理しています。

3つの選択肢を業務要件で判定する

結論合う状態
Excelで足りる単一ファイルを正本にでき、担当・更新時点・訂正手順を守れ、複雑な権限や連携が不要
汎用Webデータベース独自項目・帳票・承認・ルックアップを業務に合わせ、複数人入力や権限・履歴を整えたい
専用システムロケーション、ハンディ、RFID、自動発注、ロット・期限・シリアル、複数倉庫、引当、トレーサビリティ、WMS/ERP連携、入出荷検品の標準機能が必要

専用システムは、標準機能が業務要件に合う場合、独自構築を減らせる選択肢です。反対に、固有の項目や帳票、承認手順が選定の中心なら、汎用Webデータベースも比較対象です。

共同編集は方式名ではなく条件を確認する

Excel:対応版、ファイル形式、保存場所を満たし、実際のブックを複数アカウントで試す。

汎用Webデータベース:同一レコードを同時に開いた時のロック、競合、保存結果を試す。

専用システム:現場端末、検品、倉庫間移動など必須操作を候補製品の標準機能で試す。

よくある質問

開始時点の在庫は履歴へどう載せますか

開始日を決め、実数を確認したうえで「開始在庫」などの区分を設け、履歴ID付きの1行として登録します。現在庫セルへ数字だけを書き込む形にはしません。

商品コードを途中で変える場合はどうしますか

旧コードの履歴を消さず、新旧コードの対応と切替日を残します。過去履歴の一括書換えを行う前に、現在庫の集計範囲と帳票への影響を確認します。

箱と個など単位が混在する時は何を決めますか

商品ごとに在庫を数える基準単位を一つ決め、箱から個へ換算する条件を別に記録します。換算後の数量を誰がどの時点で履歴へ入れるかも固定します。

候補システムの確認では何を持ち込みますか

架空データに置き換えた商品台帳、入出庫履歴、帳票見本、利用者の役割、必須操作を用意します。標準機能、オプション、追加開発を分けて確認します。

独自業務を含む在庫管理をPigeonCloudで組む場合

PigeonCloudは、運営元の株式会社ロフタルが提供する汎用Webデータベースです。ここでは公式の在庫管理活用例と機能一覧で確認できた範囲を示し、専用システムを比べる条件も併記します。

独自項目・帳票・承認を組み合わせたい場合

PigeonCloudではルックアップを設定でき、ルックアップ元の更新に合わせた値の自動更新や、別テーブルを結合した集計ができます。データからPDF・Excelの帳票を作り、一つのテーブルへ複数フォーマットを紐付ける機能も公式機能一覧に掲載されています。

IF、AND、ORを使った権限条件、申請ワークフロー、誰がいつどの項目をどう変更したかを記録する更新履歴ログもあります。具体的な権限や承認経路を再現できるか、保存期間や料金区分が要件に合うかは個別に確認します。

スマホ・複数人入力と表示範囲を確認する

公式在庫管理活用例では、スマホから在庫数を入力でき、複数人で在庫数を同時入力できるとしています。また、その活用例の表現どおり、リアルタイムで最新データを確認できるとしています。

複数人で入力する運用では、同時編集時の挙動、更新の契機や対象画面、利用端末、各機能の料金区分を、実際の役割とテストデータで確認します。

専用機能が必須なら専用システムも比較する

ロケーション、ハンディ、RFID、自動発注、ロット・期限・シリアル、複数倉庫、引当、トレーサビリティ、WMS/ERP連携、入出荷検品を標準機能として必要とする場合は、専用システムも比較します。

PigeonCloudでは、独自項目などで組む範囲、標準機能の範囲、追加開発の相談範囲を分け、対応可否、費用、納期を個別要件で確認します。有料オプションのAPI連携では、REST APIによるデータ操作とWebhook連携ができます。

独自の在庫台帳・帳票・承認をWebデータベースで組む
PigeonCloudの在庫管理活用例を確認する
この記事を書いた人
PigeonCloud編集部 PigeonCloud Editorial Department
データベースやExcelに関するお役立ち情報を発信中です! ITを通して、皆さまの仕事に“プラスα”をお届けします。 (※)記事の盗用につきましてはご遠慮願います。

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