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2026.07.20 データベース

基幹システムとノーコードを連携する方法|4つの方式と失敗しない進め方

「基幹システムは変えられないが、周辺の業務はもっと楽にしたい」。販売管理や会計などの基幹システムを長く使っている企業で、よく聞く悩みです。基幹に手を入れるのは怖い。かといって部門ごとにExcelで補助台帳を作ると、二重入力と属人化が進みます。

この記事では、基幹システムを残したまま、ノーコードツールと連携させて周辺業務を効率化する方法を、当社がPigeonCloudの導入支援で見てきた範囲で整理します。連携の可否をどう見極めるか、方法ごとの向き不向き、そして「つながること」と「安定して運用できること」は別だという現実まで、順番に見ていきます。

この記事でわかること

  • 連携できるかを見極める6つのチェック項目
  • 連携方法4方式(API・CSV・iPaaS・RPA)の中身と選び方
  • つまずきやすいデータ整合性とセキュリティの勘所

基幹システムとノーコードの連携イメージ図。基幹システムを記録の正本として残し、API・CSV・iPaaS・RPAで連携し、ノーコード(PigeonCloud)を現場の入力・確認・共有に使う。足りない連携やデータ変換、専用画面はカスタマイズ開発で作り込む。

基幹システムとノーコードは連携できるのか

結論から言えば、連携はできます。ただし「どんな基幹システムでも、つなげば動く」わけではありません。可否は、基幹システム側にどんな入出力手段があるか、そのベンダーが外部連携を許可・サポートしているか、データの仕様をこちらが把握できるか、この3点でほぼ決まります。

逆に言うと、ここを確認せずに「ノーコードなら簡単につながる」と考えて進めると、途中で「APIの契約オプションが必要だった」「基幹のデータ項目が想定と違った」と手戻りします。まずは可否の判断から始めます。

まず連携の可否を判断するチェックリスト

商談の前に、当社が必ず確認している項目です。すべてが「はい」である必要はありません。ただ、答えられない項目が多いほど、連携の難易度は上がっていきます。次の6点を、着手前に一度そろえておくと後がスムーズです。

確認する項目 なぜ確認するか
入出力手段(API/CSV/DB接続) どれも無いと、そもそもつなぐ入口が無い
ベンダーの許可(契約・オプション) 外部連携が契約で制限されている場合がある
設置形態(オンプレ/クラウド) オンプレは接続経路の設計が別途必要になる
連携の向き(一方向/双方向) 登録・更新もするなら難易度が上がる
必要な即時性(即時/日次) 日次で足りるなら手段の選択肢が広がる
正データ(どちらを正とするか) 後から変えると大幅な設計変更につながる

この中でも特に重要なのが、最後の「どちらを正データにするか」です。基幹とノーコードのどちらを正本にするかは、後から変えると連携の作りをほぼ全部やり直すことになります。着手前に必ず決めておく項目で、当社が要件を伺うときも、まずここを固めてから話を進めます。

基幹とノーコードを連携する4つの方法

連携の手段は大きく4つ、それに補足が1つあります。名前は聞いたことがあっても、それぞれ「何が事故のもとになるか」まで知っておくと、選定を誤りません。順に見ていきます。

API連携(条件が揃えば双方向)

基幹システムがAPIを提供していれば、データの取得・登録・更新をプログラム経由で行えます。双方向の連携がしやすく、当社でも第一候補にすることが多い方法です。

ただし注意点があります。APIがあっても、必要なデータの取得・更新用のAPIが揃っているとは限りません。認証方式、権限、呼び出し回数の上限、件数が多いときのページング、同時更新のバッティングも確認が要ります。「APIがあるからリアルタイムで同期できる」という思い込みも危険で、定期実行しかできない構成や、イベント通知(Webhook)が別途必要な構成もあります。

CSV・ファイル連携(手軽だが照合が肝)

多くの基幹システムはCSVの出力・取込に対応しています。API契約がなくても始められるため、コストを抑えたいときの現実解です。一方で「安くて簡単」で終わらせると事故ります。文字コード(Shift-JISかUTF-8か)、列の増減、同じデータの重複取込、前回との差分の判定、取り込んだ結果の照合。このあたりの設計が甘いと、データは静かにずれていきます。日次のバッチで足りる業務に向いています。

iPaaS・連携ツール経由

iPaaS(複数のサービスをつなぐ連携基盤)を挟む方法もあります。あらかじめ用意されたコネクタで接続でき、データの変換や分岐も画面上で組めます。ただし、コネクタがあっても即連携できるとは限りません。基幹製品のバージョン、オンプレミスへの接続可否、データ変換の作り込み、実行回数による課金、失敗したときの再処理の仕組みは、導入前に確認しておきます。

RPA(APIがない基幹の最終手段)

APIもCSV出力もない基幹システムなら、RPAで画面操作を自動化して橋渡しする手が残ります。ただしRPAは、正式な連携方式というより最終手段です。基幹側の画面変更、処理のタイムアウト、多要素認証、セッション切れ、想定外のポップアップで止まりやすく、大量・高頻度・重要なデータの更新には向きません。他の方法が使えないときの選択肢と考えておくのが安全です。

補足:基幹データベースへの直接接続
基幹のデータベースに直接つなぐ案が出ることもあります。参照(読み取り)に限れば選択肢になり得ますが、直接書き込みは非推奨です。ベンダーのサポート対象外になりやすく、基幹の内部仕様に依存するため、基幹の更新で壊れるリスクもあります。原則は参照までにとどめます。

連携方法の選び方

どの方法が向くかは、更新の頻度、双方向にするか、基幹に手を入れられるか、そして運用を誰が保守するかで変わります。4方式の特徴を一覧にすると、次のようになります。

方法 向くケース 双方向 即時性 保守
API連携 双方向でこまめに同期したい しやすい 構成による
CSV・ファイル 日次で足り、コストを抑えたい 工夫すれば可 低(バッチ) 中〜高
iPaaS 複数のクラウドをまとめたい 構成による
RPA APIもCSVも無い基幹の橋渡し 可(不安定) 低〜中

迷ったときの基本の分かれ道はシンプルです。更新頻度が低ければCSV、双方向で確実性が要ればAPI。この2つで多くのケースは決まります。複数のクラウドをまとめて扱いたいならiPaaS、どの入出力手段も無い基幹だけRPAを検討する、という順が外しにくいです。

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基幹の名前・連携したい対象・更新頻度が分かれば、可否と進め方をお答えします。

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本当に難しいのは「接続」より「データ整合性」

ここが一番伝えたい点です。連携でつまずくのは、多くの場合「つなぐこと」ではなく「データを正しく保つこと」です。接続そのものは、手段さえ決まれば形になります。問題はその後に起きます。

たとえば、基幹の取引先コードとノーコード側の顧客IDの体系が違う。基幹では必須の項目が、ノーコード側では空でも登録できてしまう。登録の順番を間違えると、参照先がまだ無くてエラーになる。同じ伝票が二重に取り込まれる。基幹で削除されたデータが、ノーコード側に残り続ける。連携が途中で失敗したとき、どこまで戻すか(ロールバック)を決めていない。こうした整合性の崩れは、連携が動き始めてしばらく経ってから、静かに表面化します。

コード体系の変換、複雑な条件でのデータのマッピング、失敗時の復旧の作り込みは、標準機能の範囲を超えることが多い部分です。この領域はカスタマイズ開発で個別に設計・実装することになります。

連携で外せないセキュリティの観点

基幹システムのデータを外部とやり取りする以上、セキュリティの設計は後回しにできません。最低限おさえておきたいのが、次の6点です。

連携で最低限おさえるセキュリティ6点。認証情報の保管(APIキーを安全な場所に)、権限は最小限(連携用アカウントを絞る)、通信の暗号化(HTTPSでやり取り)、署名の検証(Webhookの送信元を確認)、連携ログ(誰が何を連携したか残す)、個人情報の範囲(含める範囲を線引き)。

いずれも派手さのない地味な設計ですが、詰めておかないと「動いてはいるが、監査で説明できない連携」になりがちです。特に個人情報を含む連携は、最初から組み込んでおくのが結局は近道です。当社でも、要件を伺う段階でこの6点を一緒に確認します。

基幹は残したまま、ノーコードを入力・参照の窓口にする

ここまでを踏まえた現実的な落としどころは、基幹システムを置き換えるのではなく、基幹は記録の正本として残し、日々の入力・確認・共有はノーコード側で行う形です。現場は見やすい画面で作業し、確定したデータだけを基幹へ渡す。基幹側の変更範囲を抑えながら、現場の使い勝手を上げられます。いきなり基幹に手を入れるより、リスクはずっと小さく済みます。

当社のPigeonCloudを例にすると、機能の役割はこう分かれます。ノーコードでデータベースや業務画面を作る部分に加え、「コネクト」で定期的な処理やデータをきっかけにした処理を自動化でき、外部システムとつなぐ場合はREST APIやWebhookを使います。役割を整理すると次のとおりです。

機能 役割 費用
ノーコードDB・画面 データベースや業務画面を作る 標準
コネクト 定期的な処理やデータをきっかけにした処理を自動化 一部有料
REST API・Webhook 外部システムとのデータ操作・イベント通知 有料オプション

そのうえで、標準機能だけでは届かない部分、たとえば基幹APIとの込み入った接続や独自のデータ変換、専用画面や独自帳票は、前述のカスタマイズ開発で作り込みます。テーブル設計や初期のデータ移行から任せたい場合は、構築代行という選び方もあります。

まとめ

基幹システムとノーコードの連携は、可否を見極めてから設計すれば、基幹を残したまま現場の負担を大きく減らせます。要点を振り返ります。

  • 可否は「入出力手段・ベンダー許可・データ仕様」で決まる。着手前にチェックする
  • 方法はAPI・CSV・iPaaS・RPAから、頻度と双方向の要否で選ぶ。基幹DBへの直接書き込みは避ける
  • 本当の難所は接続よりデータ整合性とセキュリティ。ここは個別設計が要ることが多い
  • 基幹は残し、ノーコードを入力・参照の窓口にするのが現実解

「うちの基幹でも連携できるか」を知りたい段階で構いません。基幹の名前、連携したい対象(顧客・受注・在庫など)、必要な更新の頻度が分かれば、当社で可否と進め方を整理してお答えします。まずはカスタマイズ開発の相談窓口からお問い合わせください。

この記事を書いた人
石川 傑也 Takuya Ishikawa
アクセンチュア株式会社を退職後、スタートアップ企業のエンジニアとして様々なサービスの企画・開発に携わる。 その後、株式会社ロフタルを設立。これまでの経験を活かし、DX・業務改善を進めるサービスPigeonCloudを開発。

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