システム受託開発会社の選び方と比較|発注先の種類・相見積もりで確かめる8項目・会社例
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システム受託開発会社は、「誰に頼むか」だけでなく「どう作るか」まで分けて考えると比較しやすくなります。本記事では比べやすくするため、主な候補を便宜上、体制は大手SIer・中小の受託開発会社・フリーランス、作り方はSaaSやパッケージの設定・SaaSを土台にしたカスタマイズ・ゼロからの開発に整理します。
見積金額だけを並べても、含まれる工程や保守の範囲が違えば比較になりません。発注先を比べる5つの観点と、相見積もりの条件をそろえる8項目を中心に解説します。
運営元の開示:この記事は、受託開発事業を行う株式会社ロフタルが運営しています。会社例には当社も含みます。他社については各社の公式サイトで公開されている情報だけを、同じ項目で整理しています。
体制
社内の担当者、必要な専門分野、発注後に自社で担える管理範囲から考えます。
作り方
既製機能で足りる部分と、個別に作る必要がある部分を切り分けます。
受託開発とは
受託開発とは、企業や個人が自社のシステムやアプリの開発を、外部の開発会社に依頼する形態を表します。
開発会社は、依頼者側の要件や課題に応じてソフトウェアやシステムを作成します。請負型では、契約で定めた成果物を納品し、発注側が検収します。契約の完了や支払いの条件は契約ごとに異なります。
実際の契約では、要件整理、設計、開発、テスト、データ移行、保守のうち、どこまでを受託会社に任せるかを決めます。納品後の保守を別契約にする場合もあるため、運用開始後の役割も発注前に確認します。
発注側に残る役割:開発を外部へ任せても、業務上の優先順位や、どの状態を完成とするかは発注側が決めます。社内の判断担当者と、受託会社への連絡窓口を決めてから相談すると、未決事項を処理しやすくなります。
発注先の選び方|体制と作り方の組み合わせで比べる
要件を整理したうえで、体制と作り方を行き来しながら候補を絞ります。期間は機能数や要件の確定度で変わるため、相対的な傾向だけを示します。
体制で比べる
発注先の体制
大手SIer
向く案件・期間:複数部門や既存の基幹システムをまたぐ案件。調整工程が多いほど期間が長くなりやすい
保守の確認:窓口、対応時間、再委託先
注意点:担当範囲と意思決定の経路
中小の受託開発会社
向く案件・期間:業務システムやWebサービスなど、公開事例の領域と案件が近い場合。相談から開発まで同じチームで進める会社もある
保守の確認:開発後の担当者と対応範囲
注意点:同時進行の体制、担当者が限られる場合の引き継ぎ
フリーランス
向く案件・期間:範囲が限られ、発注側が仕様と進行を管理できる案件。判断が早ければ着手しやすい
保守の確認:不在時の連絡先と引き継ぎ
注意点:設計・テストを誰が補うか
作り方で比べる
システムの作り方
SaaS・パッケージの設定
向く案件・期間:標準機能に業務を合わせられる案件。個別開発が少ないほど準備期間を抑えやすい
保守の確認:提供会社の更新・サポート範囲
注意点:標準機能と追加設定の境界
SaaSを土台にカスタマイズ
向く案件・期間:共通機能を使い、自社固有の画面や処理だけを足す案件。ゼロから作る範囲を減らせる
保守の確認:SaaSと個別部分それぞれの窓口
注意点:データ移行、連携、解約時の扱い
ゼロから開発
向く案件・期間:既製品では業務要件を満たせない案件。設計・実装・テストの範囲が広いほど期間を要する
保守の確認:運用基盤を含む担当範囲
注意点:仕様変更と保守の予算を別に確保
同じ会社でも、案件ごとに向く作り方は変わります。顧客・案件・在庫などの情報を登録して検索する業務は、既存SaaSの標準機能から確認します。独自の計算、外部システムとの連携、利用者ごとの複雑な制御が必要なら、その部分をカスタマイズまたは個別開発として切り出します。
案件の条件から候補を絞る早見表
案件の条件ごとに、候補になりやすい組み合わせを一般的な傾向として示します。個別の案件への適否を示すものではなく、最終判断は各社の提案と見積の前提で行います。
| 案件の条件 | 体制の候補 | 作り方の候補 |
|---|---|---|
| 複数部門で使い、既存の基幹システムとの連携が多い | 大手SIer、連携の公開事例がある受託開発会社 | ゼロから開発、SaaSを土台にカスタマイズ |
| 範囲が限られ、仕様と進行を自社で管理できる | 中小の受託開発会社、フリーランス | SaaSを土台にカスタマイズ、範囲を絞った個別開発 |
| 標準機能でほぼ足りる | 中小の受託開発会社(SaaSの導入支援を行う会社を含む) | SaaS・パッケージの設定 |
| 独自の計算や承認手順が業務の中心になる | 中小の受託開発会社、大手SIer | ゼロから開発、SaaSを土台にカスタマイズ |
候補を探す前の整理:「現在の手順」「変えたい箇所」「残してよい手作業」を1枚にまとめます。製品名や技術名を先に決めるより、業務の境界を示すほうが、作り方の異なる提案を受け取りやすくなります。
受託開発会社を比べる5つの観点
規模だけでは自社案件との相性は分かりません。次の5点を質問し、回答が見積書や提案書にも反映されているかを見ます。
| 観点 | 確認する内容 |
|---|---|
| 実績の近さ | 業界名だけでなく、利用者、データ量、承認や集計などの業務が自社案件に近いか |
| 要件整理の進め方 | 誰が業務を聞き取り、未決事項をどう記録し、発注側に何を決めてもらうか |
| 見積の前提 | 含む工程、対象画面、連携、データ移行、テスト、除外作業が文書で示されているか |
| 保守と障害時の対応 | 問い合わせ窓口、対応時間、障害と追加改修の区分、クラウド費用の扱い |
| 成果物とデータの権利 | 成果物・ソースコード・既存部品・データの権利と利用範囲を契約で確認する |
権利に関する注意:ここでの説明は発注時に確認する項目を示す一般的な情報で、個別契約の法的判断ではありません。判断が必要な場合は専門家へ相談してください。
相談時の受け答えも比較材料です。「できます」という回答で終わらず、前提、未確認事項、発注側が決める内容まで分けて説明されるかを確認します。公開事例が別の業界でも、扱うデータや承認手順が近ければ参考になります。反対に、業界が同じでも利用人数や連携範囲が違えば、同じ進め方になるとは限りません。
相見積もりで確かめる8項目
各社へ同じ依頼資料を渡し、見積書の項目名もできるだけ合わせます。「一式」の総額ではなく、前提と除外範囲を比較するためのチェックシートです。
相見積もりチェックシート
要件定義、設計、開発、テスト、移行、教育、納品物
発注側が担当する準備、入力、確認、外部サービス契約
工程別の工数・単価、または金額の算定の前提(可能な範囲で)
問い合わせ、監視、障害対応、軽微な変更の区分
クラウド、SaaS、外部サービスの契約者と更新費
追加見積もりの条件、承認手順、納期への反映方法
ソースコード、既存部品、設計書、データの利用範囲
着手時・中間・検収後などの時期と検収条件
費用は「初期開発」「保守」「クラウド・ライセンス」「変更対応」の4区分に分けます。具体的な金額相場は、ソフトウェア開発の外注費用と依頼手順の記事で解説しています。
比較表には各社の回答をそのまま転記し、空欄も残します。不明な項目を推測で埋めると、契約後に「見積もりに含まれていると思っていた」という認識違いが起きます。口頭で確認した内容は、修正版の見積書や提案書に反映してもらいます。
比較条件の例:データ移行を発注側が行う見積もりと、受託会社が行う見積もりは別条件です。保守も、問い合わせ受付だけか、監視・障害対応・変更作業まで含むかを分けて記録します。総額を比べる前に、この条件を同じにします。
受託開発の流れ
相談から運用までの流れは次のとおりです。発注側が判断する場面を最初に決めておくと、確認待ちによる停滞を減らせます。
| 段階 | 工程 | 発注側が確認すること |
|---|---|---|
| 1 | 相談 | 解決したい業務、利用者、希望時期を伝える |
| 2 | 要件整理 | 必要な機能と後回しにする機能、データ、利用条件を決める |
| 3 | 相見積もり | 8項目をそろえ、前提と除外範囲を比較する |
| 4 | 契約・設計 | 役割、成果物、検収、変更手順、権利を文書で確認する |
| 5 | 開発 | 定例で動作と未決事項を確認し、必要な判断を返す |
| 6 | テスト・検収 | 実際の業務手順で確認し、合意した条件に照らして検収する |
| 7 | 運用・保守 | 問い合わせ、障害、追加変更を契約した窓口へ連絡する |
各段階の終了条件も決めます。たとえば要件整理なら未決事項の一覧、検収なら誰がどの手順で試すかです。
受託開発のメリットとデメリット
外部の専門人材を使える一方で、発注側の判断まで委託できるわけではありません。メリットとデメリットは対にして確認します。
| メリット | デメリット | 発注側の備え |
|---|---|---|
| 社内にいない専門人材を案件単位で使える | 要件の伝達にずれが生じることがある | 業務を説明し、仕様判断を返す担当者を決める |
| 必要な人材を採用する場合に比べ、早く着手できることがある | 途中変更で工数や納期が変わることがある | 変更の承認と再見積もりの手順を決める |
| 設計からテストまでまとめて依頼できる | 社内に技術的な知見が残りにくい | 設計書、操作資料、引き継ぎ範囲を成果物に含める |
| 開発作業は外部に任せられる。ただし要件の判断や検収には社内の時間が要る | 運用や保守が開発費と別になる場合がある | 初期開発と保守を分けて見積もる |
任せる範囲を広げても、現場の業務判断は社内に残ります。受託会社からの質問に回答する期限を決めておきます。納品後に自社で変更する可能性があるなら、構成やデータ項目を説明する資料も成果物に含めるか確認します。
システム受託開発会社の比較例(公式情報にもとづく3社)
受託開発の対応範囲と工程を公式サイトで公開している会社を例として紹介します。掲載順は評価や順位を示しません。ほかにも多くの受託開発会社があります。
調査日:2026年10月21日。各社の公式サイトの公開情報にもとづきます。
| 項目 | メディアリンク株式会社 | 株式会社ATJC |
|---|---|---|
| 公式サイトで案内している領域 | Web系システムを含む業務システムの受託開発(業務改善・効率化を含む) | システム受託開発(全工程の受託と、一部フェーズの受託) |
| 公開している対応工程 | コンサルティング、要件定義、設計、製造、運用支援、保守サービス | 要件定義からテストフェーズまで |
| 公開事例の有無と種類 | 大手通信事業者向けIVRシステムの開発と保守・運用の担当経験を紹介 | 建設業界向けBIツール導入サポート、人材サービスの業務管理システム開発などを紹介 |
| 公式ページ | メディアリンク「受託開発」 | ATJC「システム受託開発」 |
この記事の運営会社(株式会社ロフタル)について
株式会社ロフタルは本記事の運営会社のため、表とは分けて、表と同じ項目で記載します。2015年設立で、自社開発のクラウド業務システム PigeonCloud は2018年にβ版を公開しました。PigeonCloud の利用企業は300社以上(2026年10月時点の当社サイトの表記)です。
- 公式サイトで案内している領域:在庫・受注管理、社内報・日報、業務システム、API連携、生成AIなどの開発と保守運用
- 公開している対応工程:相談・見積、要件定義・設計、開発・テスト、納品・運用保守
- 公開事例の有無と種類:公式サイトで見積例を3件公開(在庫・注文管理、社内報の電子化、Excel・Access からの移行)
- 公式ページ:ロフタル「受託開発」
表から分かるのは、各社が公開している対応範囲と事例です。ほかの候補は、業界団体の会員名簿や、自社と近い業務の公開事例から探せます。自社案件への対応可否、担当体制、見積条件は、同じ依頼資料を渡して個別に確認してください。
よくある質問
まとめ
1体制と作り方の組み合わせで候補を整理する
2実績の近さ、要件整理、見積の前提、保守、権利の5観点で比べる
3初期開発、保守、クラウド・ライセンス、変更対応を分け、8項目を同じ条件にして相見積もりを比べる
まず8項目のチェックシートを各社へ渡し、回答を1枚の比較表に転記してから金額を比べてください。
社内報の電子化を検討している方は、社内報の電子化サービスも確認できます。
データ管理、もっと簡単に。
Excel・Access・スプレッドシートの課題を、ノーコードのWebデータベース「PigeonCloud」が解決します。
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